サスペンス

【完結漫画】春の呪いの感想※春の呪いは本当に晴れたのかを考察!

【完結漫画】春の呪いの感想※春の呪いは本当に晴れたのかを考察!

読売テレビのマンガ沼で麒麟の川島さんがおすすめしていた漫画が「春の呪い」です。

2016年4月に発表された小西明日翔先生の連載デビュー作で、このマンガがすごい!2017オンナ編第2位、次にくるマンガ大賞2018コミックス部門第1位の人気作。

2021年春には、テレ東で、実写ドラマ化されました。

小西明日翔先生は、「来世は他人」がいいもアニメ化しています。

レディースコミックですが、男のわたしも1回読んで、呪いの正体が気になって、2回3回と読み返した読み応えのある漫画です。

気に入った作品なので、春の呪いは晴れたのか?についての考察などを書きます。

春の呪いの基本情報

漫画名 春の呪い1~2巻
発売日 2016/4/23・2017/1/5
著者 小西明日翔
出版社 一迅社
連載 月刊コミックZERO-SUM

目次

1巻

第1話 Spring is gone
第2話 7月
第3話 8月
第4話 9月(前編)

2巻

第5話 9月(後編)
第6話 11月(前編)
第7話 11月(後篇)
最終話 and winter will come.

春の呪いの登場人物

立花夏美

主人公。
親の離婚などの確執があって、妹に親族以上の思いを抱く。
妹の死後、妹の婚約者と付き合うことになり、複雑な気持ちになる。
本当の性格は明るく活発。

立花春

主人公、夏美の妹。
親からの勧めで、柊冬吾と結婚を前提に交際し、将来を夢見るも19歳の若さでガンで死亡。
賢く勉強もでき、おとなしい性格。

柊冬吾

相馬グループの御曹司で、家柄も良く成績も優秀で銀行に勤める将来有望でイケメンの男性。
妹の立花春と交際していたが、春の死後、姉の夏美と付き合うことになる。

春の呪いの感想

2巻で完結のこの漫画、1巻と2巻で、ガラッと内容が変わりるのが面白いです。
春の呪いというタイトルの通り、呪いの意味が、とても意味深です。

【1巻の感想】望まない、望まれないはずの交際

春の呪いのスタートは、妹の春の死です。

大好きだった妹の春が19歳の若さで死にます。

親が離婚し、母が出て行ってすぐ、新しい母がやってきた家族で、本当の肉親と言えるのは妹だけ。

姉妹以上に大事に思っていた春の死はとても衝撃でした。

さらに衝撃だったのが、妹の婚約者で、妹を愛していたはずの柊冬吾から交際の申し出があったこと。

政略結婚の春と冬吾の交際でしたが、春は冬吾を気に入ったようで、良いカップルでした。

そんな二人だったからこそ、すぐに、妹の代わりに、付き合おうという申し出をしてきた冬吾に、夏美は嫌悪感を覚えます。

交際にはOkしますが、夏美は条件を出します。

春と二人で行った場所に、私を連れ行ってください。

春を肉親という関係以上に想っていた夏美。

その春の心を奪われたことへの嫉妬と、春のことをまだ考えていたかったからです。

交際を続けるうちに夏美は、自分自身と冬吾の変化を感じます。

冬吾の好意を感じ、そして、夏美も冬吾に好意を感じていたからです。

ただ、それは夏美が望んだものではなく、当然、世間的にも望まれない恋でした。

春と二人で行った場所に行くという条件が終わると、2人は別れます。

お互い想うことはありましたが、別れることになりました。

夏美は、複雑な感情を抱い、自分の気持ちの行き所をネットで探す中、春の気持ちを知ることになります。

【2巻の感想】春(アキ)が思っていた事

夏美は、春が生前につけていた日記(SNS)を見つけます。

ハンドルネームはアキです。

そこには、夏美が知らなかった赤裸々な春の心がつづられています。

冬吾を大好きなこと。

二人は気づいていないかもしれないけれど、冬吾と夏美がお互いを意識していることに気づいていること。

そして、春の本心です。

妹以上に思っていた春の本心を知り、夏美はショックを感じます。

【2巻の感想の続き】止められない想いと春の呪い

別れた冬吾と夏美ですが、お互いを追い求めます。

夏美は、自分の気持ちに気づき、春に罪悪感を感じ、だからこそ、夜道では、背後に春の影を感じます。

ただ、ある事件をきっかけに、お互いの気持ちに正直になります。

夏美は、家を出ることを決めます。

冬吾も同じように家を出ます。

将来が約束されている冬吾にとって、家を出ることは、約束された未来を捨てること。

でも、自分の人生を生きるために、正直に生きることを決意します。

ただ、夏美はそれでも、春への罪悪感を忘れずにいられません。

しかし、それでも二人は前を向いて歩いていきます。

春の呪いは晴れたのかを考察

1巻での春の呪い

1巻での春の呪いは、夏美の冬吾を好きになってはいけないという呪いです。

㈤は妹の婚約者で妹の心を奪った相手なのでむしろ憎んでいました。

最初から好きになるはずもなく、妹が死んだから姉がというのは、世間的にも受け入れらがたいものです。

でも冬吾を好きになってしまいます。

春が呪いをかけているわけではありません。

でも、夏美は、自分で自分に呪いをかけています。

そして、冬吾も同じです。

冬吾は、逆で、夏美に好意を持っています。

でも、由緒正しい柊家のため、結婚が決まっていて、好意もあった春のため、いわば夏美への思いを断ち切るために、交際をしていたのです。

すべて分かっていたからこそ、冬吾も何もできないという呪いをかけられています。

お互い春のことを大事に思うばかりに、春の呪いにはまります。

2巻 春の呪いは晴れたのか

2巻に入って、春ことアキの本心を知ったところは、まさに春の呪いにはまったと言えるところです。

夏美は、春のことだけを想っているつもりでしたが、冬吾の目、そして、夏美の本心を感じ、目に見えない三角関係が完成していました。

それに気づき、そして、病気に侵された春は、意図的に呪いをかけ、それに、夏美も冬吾もはまっていきます。

ただ、最後まで読むと、このお話はハッピーエンドだと思います。

二人で暮らすことができたのは、春の呪いが晴れたからだと思います。

「俺もおまえも本当は呪われてなどいないかもしれない」

夏美だけでなく、冬吾も春の呪いに悩まされてきました。

でも、アキこと春の本心を知り、何度も考えたあと、春の本当の想いを知ったように思います。

夏美より冬吾を取り、お姉ちゃんを地獄につれていきたいと書いた春。

でも、本当に春はそう思って死んだのかと思います。

最終話では、振り返っても春はいませんでした。

あと、最後が、春の呪い おわりで終わっています。

漫画の最後だからと考えればそうですが、呪いの終わりも表してそうな気がします。

そして、裏表紙です。

言葉は、

たとえ、呪い殺されても。
果ては地獄でも。
あなたと二人なら。

と怖い言葉ですが、春を笑顔でおんぶする夏美の顔があります。

春も笑顔です。

春の呪いは、本当は温かいもの。

春はただ自分のことを忘れないおいてほしかっただけだったような気がします。

小西明日翔先生のインタビューでの春の呪いについて

春の呪いについて、実写ドラマ化する際に、ダヴィンチwebにインタビューがあったので紹介します。

春の呪いは、2007年ごろにWebサイトで発表していた自作小説が原案だそうです。

その小説でも大きなポイントとなっているのは、春の最後の言葉「冬吾さん」とのこと。

最後に、自分の名前でなく、冬吾の名前を告げられたことで、夏美は呪いにかかります。

2巻になって、春の二面性が出てきますが、そこも、小西先生の実体験の影響だそうです。

身内をなくし、記録のようなものを見つけ、そこにショックと知ることができたという気持ちを同様に感じたようです。

など、小西先生の春の呪いに対する想いが書かれています。

作者からのネタバレかもしれません、漫画を読んで、より詳しく知りたい人は、読んでみてください。

「漫画家になるつもりはなかった」と話す小西明日翔さんが、ヒット作『春の呪い』を生み出すまで/ダヴィンチweb

まとめ

2巻で終わる短い漫画ですが、とても読み応えのある漫画でした。

実写ドラマは、ホラーテイスト強めで、評判が悪かったようです。

小説家を目指していた小西先生だったからこそ、下手にホラーに走るより、じっくり見せるタイプにした方が良かったと思います。

また、夏美は誤解していましたが、後から来た夏美の母の温かい気持ちも分かります。

春の呪いというタイトルで、春が夏美や冬吾に呪いをかけたように思いましたが、終わってみると、むしろ春を通して呪いが晴れたような気がします。

あと、登場人物が、春、夏美、冬吾、そしてアキと、四季になっていたり、目次が、春から冬に進むけれど、秋(10月)がなかったり、小西先生のギミックも面白い漫画でした。

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