「我以外皆異性也」の意味と元ネタ|範馬勇次郎がヤバすぎるバキ道100話

「我以外皆異性也(われいがいみないせいなり)」
『バキ道』第100話のサブタイトルであり、範馬勇次郎という生き物の異常さを、たった7文字で言い切ってしまった一文です。
勇次郎の強さを語る言葉はこれまでもたくさんありました。地上最強の生物、食物連鎖の頂点、アメリカ大統領と個人で条約を結ぶ男。
でも、この「我以外皆異性也」は毛色が違います。強さではなく、オスとしての次元が違うという話だからです。
この記事では、この名言の意味と元ネタ、そして作中でどんな流れで飛び出した言葉なのかをまとめます。
「我以外皆異性也」の読み方と意味
| 読み方 | われいがいみないせいなり |
|---|---|
| 出典 | 板垣恵介『バキ道』第100話(11巻収録) |
| 言った人 | 勇次郎の血液を調べた医学博士 |
| 意味 | 範馬勇次郎から見れば、自分以外の人類は男も女も関係なくすべて「異性」に見えている |
ポイントは、これが勇次郎自身のセリフではないことです。
言ったのは、勇次郎の血液データを前にした医師 医学博士の秦公芳。つまり自称でも誇張でもなく、数値を見た専門家が出した結論として提示されます。だからこそ質が悪い。
元ネタは「我以外皆我師也」
下敷きになっているのは、作家・吉川英治の言葉として知られる「我以外皆我師也(われいがいみなわがしなり)」です。
自分以外の人間はすべて自分の師である。誰からでも学ぶことがある、という謙虚さの言葉ですね。
その「師」を「異性」に置き換えただけ。
たった一文字で、謙虚さの極みが傲慢さの極みに反転します。しかも勇次郎の場合、本人が威張っているわけですらなく、ただそういう生き物だという事実の記述になっている。
言葉遊びとしてよく出来ていて、なおかつキャラクターの本質を突いている。名言と迷言のちょうど境目にある一言です。
この言葉が出てくる場面|勇次郎の血液検査
テストステロンが測定不能
舞台は、ある大学の総合病院。
調べられていたのは、範馬勇次郎のテストステロン(男性ホルモン)の数値です。
結果は、常人の10倍以上。検査の上限を振り切ってしまい、正確な値が測定できないという状態でした。
強さの話ではありません。オスとしての濃度が、そもそも人間の物差しに乗らないという話です。
老若男女すべてが「オンナ盛り」に見える
医師は、この数値から見える世界を想像します。
雄としてのホルモン指数が異次元である以上、勇次郎の目に映る世界は我々とは違うのではないか。分かりやすく言うなら——我以外皆 異性也。
おじいちゃんもおばあちゃんも、相撲取りもラガーマンも、勇次郎から見れば全員が女盛り。
つまり勇次郎にとって、この地球上に同性は一人もいないということになります。
強さのインフレは他の漫画でも見ますが、性別のインフレは初めて見ました。
裏付けとしての、ある冒険家の話
そして、この説を補強するエピソードが続きます。
登場するのは、チョモランマ無酸素登頂や熱気球での太平洋横断を成し遂げてきた、屈強な冒険家。
なぜそこまで過酷な環境に自分を置くのかと聞かれた彼の答えは、「内なる雄に出会いたいから」。
そのきっかけが、勇次郎でした。
勇次郎に手ゴメにされ、自分の中の女を感じてしまったから——というのです。
ここで「我以外皆異性也」は、勇次郎側の一方的な認識ではなく相互作用として完成します。勇次郎が全人類をメスと見なすだけでなく、対峙したオスの側も自分の中のメスを自覚させられてしまう。
板垣先生の発想は、毎回こちらの想像力を軽く超えてきます。
なぜこの一言が「新しい」のか
勇次郎の伝説は、これまでほとんどが強さの話でした。
生物としての食物連鎖の頂点にいる。アメリカ大統領は就任すると勇次郎と話をつけなければならない。国家すら勇次郎個人を戦力として計算する。
どれも「どれだけ強いか」の尺度です。
対して「我以外皆異性也」は、強さを一切測っていません。
測っているのは血液です。医師は勇次郎と戦ってもいないし、戦う気もない。ただ検査結果を見ただけで、人類とは別の生き物だと結論づけている。
戦闘描写を一コマも使わずに格の違いを描く。11巻でいちばん静かで、いちばん強いページだと思います。
「我以外皆異性也」が収録されたバキ道11巻
| 漫画名 | バキ道11巻 |
|---|---|
| 発売日 | 2021/10/09 |
| 著者 | 板垣恵介 |
| 出版社 | 秋田書店 |
収録話
第92話 刃牙VS炎 決着
第93話 超中学生
第94話 何者なのか・・・!!?
第95話 近代相撲と古代相撲
第96話 お返し
第97話 必要火急な「廻し」
第98話 6対6マッチの結末
第99話 Ogre(オーガ)
第100話 我以外皆 異性也
巻の締めくくり、100話目にこのサブタイトルを持ってくるあたりが心憎いところです。
本筋は「日本大相撲協会 vs 地下闘技場戦士」の決着
11巻では、長く続いた対抗戦がついに決着します。
副将戦は刃牙 vs 小結 炎。決着は一瞬で、角界一の敏捷性を誇る炎のグーパンチに刃牙が乾坤一擲。
炎も見事でした。ほとんどダメージがないまま、相手の土俵に上がってしまったと悔やむ姿には好感が持てます。
そして大将戦、野見宿禰 vs 横綱 零鵬。
4敗して対抗戦の勝ちが消えた大相撲ですが、零鵬は「横綱が勝てば大相撲の負けにはならない」と言い切ります。
その零鵬は超中学生でした。14歳で走り幅跳び8m、100mは10秒3、身長179センチ・体重97キロ。陸上をやればオリンピック候補という運動能力の持ち主が相撲を選んだ、大相撲史上最高の傑作です。
対する野見宿禰は角力(すもう)の始祖の名。世襲で200代を超えて現存しているものの、その名を襲名できたのは二代のみ。始祖の次に襲名したのが、この野見宿禰です。
近代相撲の頂点と、古代相撲の始祖。この激突は圧巻で、「そこの廻しを取るのか!」という驚きの展開が待っています。
そして、野見宿禰が次に望む相手
戦いを終えた野見宿禰が次に望んだ相手が、オーガ——範馬勇次郎です。
近代相撲との闘いを終えて、古代相撲の強さを証明した彼が望むのは、もっと強い存在。
彼と戦えると聞き、オーガとは?との流れから、100話の血液検査へと繋がっていきます。
なお、その野見宿禰を見た勇次郎の第一声が「このデブ・・・」。
古代相撲の始祖にして最強の一角が、勇次郎に言わせればただのデブ。「我以外皆異性也」と併せて読むと、この一言の意味もまた変わってきます。
「我以外皆異性也」の話は、バキ道12巻にも登場
「我以外皆異性也」の話は、次巻12巻にも登場します。
範馬勇次郎vs野見宿禰
12巻のスタートは、範馬勇次郎vs野見宿禰からです。
横綱 零鵬との戦いでは、圧倒的な強さを見せた宿禰ですが、勇次郎の前では、歯が立ちません。
宿禰曰く、勇次郎は、「戦闘用の存在」。
一目見て、凶暴であることがわかり、身長が低いはずなのに、見上げてしまう。
対して、勇次郎は言います。
「このデブ・・・」
そして、頬っぺたをつまんで投げます。
ただ、宿禰も負けておらず、物言いをつけ、立ち合います。
でも、さらに上を行く勇次郎。
食らいつく宿禰と、上を行く勇次郎。
ここでも、勇次郎のすごさが分かります。
犯すぞ爺い!!!
何度も食らいつく宿禰の事を擁護する?徳川の御老公に、勇次郎が言う言葉が、
「犯すぞ爺い!!!」です。
しつこくて勇次郎が言うのですが、これにご老公は、照れてしまいます。
「この爺いを手込めにすると・・・」と
勇次郎から見ると、全員が雌
ここで、もう一度、あの話が登場します。
勇次郎の血液検査の結果を聞いていたのは、鎬紅葉です。
鎬紅葉は、グラップラー刃牙にも登場した天才外科医兼格闘家で、紐切り鎬としておなじみの鎬昂昇の兄です。
紅葉は、言います。
範馬勇次郎は、雄としてのホルモン。
常人とはホルモンの絶対量が別次元!
範馬勇次郎から見る、全人類は老若男女を問わず全てが「雌」。
まさに、我以外皆異性也なのです。
11巻に続いて、12巻にもこのネタを持ってくる。
板垣先生は、よほどこの我以外皆異性也が気に入ったんだと思います。
まとめ
- 「我以外皆異性也(われいがいみないせいなり)」は『バキ道』第100話のサブタイトル
- 元ネタは吉川英治の「我以外皆我師也」
- 勇次郎のテストステロン値が常人の10倍以上・測定不能だったことから、医師が導き出した表現
- 勇次郎から見れば老若男女すべてが異性であり、この世に同性はいない
- 対峙したオスの側も、自分の中のメスを自覚させられる
巻の主役は間違いなく野見宿禰なのですが、最後の最後で全部持っていくのが範馬勇次郎という男です。
これからどんな伝説が追加されるのか、本当に楽しみです。
ネタバレしている部分は多いと思いますが、刃牙シリーズはオチが分かったから終わりという漫画ではありません。ぜひ本編で、あのページの空気ごと味わってみてください。
もし勇次郎に出会ってしまったら、おしりを押さえてすぐ逃げましょう。






