ひゃくえむ。5巻。最終巻の感想です。
マンガ沼で、麒麟の川島さんがおすすめしていたこの漫画。
番組に出演していた作者の魚豊(UOTO)さんのキャラクターも面白く、推薦の熱量がすごかったので読み始めましたが、確かにすごかったです。
名言いっぱいの「ひゃくえむ。」ですが、最終的なテーマは単純。
「何のために走るのか」です。
ひゃくえむ。5巻の基本情報
漫画名 | ひゃくえむ。5巻 |
---|---|
発売日 | 2019/10/9 |
作者 | 魚豊 |
出版社 | 講談社 |
掲載アプリ | マガジンポケット |
ひゃくえむ。5巻のあらすじと感想
ひゃくえむ。5巻は、ネタバレみたいになりますが、1話1話、濃密な内容です。
トガシ、小宮のほかに、財津、そして、海棠、カバキといった陸上選手が登場し、それぞれの哲学が描かれます。
「テーマは、何のために走るか」です。
それぞれの陸上選手の言葉と一緒に、あらすじと感想を書きます。
何の為に走ってるんだ?(トガシ)
高校のインターハイから10年、企業の契約選手となったトガシ。
ギリギリ今年の契約更新が決まったものの、圧倒的な速さだった中学時代、復活した高校時代と比べて、普通の選手になった自分に、「何の為に走ってるんだ?」と問いかけます。
そして、アドバイスをもらうため、新年会で、所属チームのトップの海棠(かいどう)に話を聞きます。
何のために走るのかわかってりゃ現実なんていくらでも逃避できる(海棠)
企業チームのトップが海棠(かいどう)です。
15年もトップにいる化け物のような選手。
それでも、日本陸上トップの財津には勝てずに、万年2位などと言われます。
彼は言います。
財津と会って以来15年、‟現実”って奴を見せられ続けてる。
いつも最後の直線で負ける現実、小宮なんて若手が台頭した現実、1秒1秒老いていく現実
ただ、不思議なことに、とうの俺は、「次こそ俺が勝つ」と信じ切れてる
なぜか、それは現実は逃避できるからだ
俺を俺を認めるからだ
何のために走るのかわかってりゃ、現実なんていくらでも逃避できる
これを聞いてトガシは全力で走れば良いという単純なことに気づきます。
ただ、現実逃避とは、そう単純なものではありません。
俺がまだ走りたいんだ!(トガシ)
練習で肉離れをおこしたトガシ。
チームから契約終了という現実を突きつけられます。
公園で考えていると、子供たちが走る練習をしています。
アドバイスをするトガシ。
それほど真剣にならなくてもいいよと、子供たちに問いかけるトガシの目から涙が・・・
そこで気づきます。
「俺がまだ走りたいんだ」と
人生すべてを記録に賭ける(小宮)
日本陸上の日、絶好調で予選トップの小宮は、おなじく予選トップの財津と話します。
財津は、人生全てを記録に賭ける小宮に、憐み(あわれみ)をかけます。
硬派な姿勢は評価するが、記録に賭けることは、大変惨めだと・・・
そして、小宮は、予選で2着に沈んでしまいます。
さらに、記録を求めず走る海棠に負け、記録でも抜かれてしまい思うのです。
「何のために記録を求めてたんだ?」と
対戦相手だけだ(財津)
絶対王者と言われ続けている財津。
彼が求めるものは1位のみ。
記録にこだわる小宮に、言います。
この世で1位を生み出せるものはただ1つ、「対戦相手だけだ」と。
ただ、予選の時点で、彼は絶対王者の称号と引き換えに闘争心を失ったと言っていたのです。
僕らは一体何の為に走ってるんだ?(小宮)
日本陸上の決勝の直前、トガシと会った小宮は、
「僕らは一体何の為に走ってるんだ?」
と問います。
小6の時から、自分の進む道を決め、人生をかけてきた小宮の気持ちにブレが出たのです。
この問いに対して、トガシは、言います。
真剣(ガチ)になる為
小宮くん忘れてるみたいだけどこの世には単純なルールがあったはずだ
100mだけ速ければ全部解決する
中学以来、ずっと悩み続けてきたトガシですが、走る意味を知ったことで、強くなりました。
「100mだけ速ければ全部解決する」は、1巻に出てきた言葉ですが、重みが違いますね。
ひゃくえむの最終回:日本陸上の決勝
ひゃくえむの最終回は、日本陸上の決勝ですが、
決勝に進出したのは、トガシ、小宮、カバキ、海棠ら。
カバキは、新生でトガシの後輩です。
予選のトップは海棠、財津が記録した100mの記録に迫る歴代2位の記録でした。
ただ、スタートから飛び出したのは、トガシと小宮。
前半型のトガシが飛び出しますが、すぐに小宮が追いつき離します。
しかし、何のために走るかの意味を知ったトガシは食らいつきます。
ケガを負った脚の不安を感じますが、彼には、そんなことは関係ありません。
そんな現実は逃避できます。
小宮に追いつき引き離すトガシ。
抜かれた小宮は失速します。
彼に久しぶりに現実が襲い掛かります。
しかし、小宮も現実を引きはがします。
彼も走る意味を見出すのです。
ひゃくえむ。の最後の最後
ひゃくえむ。の最終回、ほんとうの最後はこれです。
俺の名はトガシ。
どこにでもいる普通の人間だ。
ただ一つ変わったことがあるとすれば
走るのが、好きだ。
1巻の最初に似たセリフです。
とてもシンプルなセリフですが、とてつもなく重いです。
トガシは、大人になって、やっと何のために走っているのか分かったのです。
まとめ:名言だらけのひゃくえむ
ひゃくえむ。5巻で完結です。
トガシ対小宮のどちらが優勝したのかは分かりませんが、そんなことはどうでもいいです。
何のために走るか?
何のために生きるか?
自分のために生きる!
ひゃくえむには、それが詰まっています。
財津が決勝前に言います。
「極上の10秒を味わえ」
たった10秒で世界が変わる100m走の奥深さを感じます。
ただ走るだけですが、メンタルがとても大事なんだと思います。
そして、1巻と5巻がつながっているのもいいです。
小学生のトガシと小宮、大人になったトガシと小宮。
同じようなセリフを交わしますが、大人になった方が、考え方がシンプルになるところがマジっぽくて良いです。
ネタバレになっちゃいそうなくらいに書きましたが、漫画のインパクトがすごいので、ぜひ読んでください。
読まないと伝わらないことがいっぱいあります。
魚豊先生の漫画は、チ。が有名ですが、ひゃくえむ。は個人的にそれ以上です。
漫画のこの感動を、映画でどう再現できるか、楽しみです。
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